ブレパ維持向上のコツ健康的な食習慣
1日に何をどのくらい食べたらいいの?
少なくとも400gの果物と野菜を

タンパク質を積極的に摂取し、バランスの良い食生活を
健康的な食習慣は、身体はもちろんブレインパフォーマンスの維持にも欠かせません。中でも果物と野菜※1、魚※2の摂取は認知機能低下リスクと関連しているといわれており、特に魚の消費量が多いほど、記憶力低下に効果があると言われています※3。
WHOでは、2019年に発表した認知機能の低下リスクに向けたガイドラインの中で、食生活について以下の点を推奨しています。
<WHOの推奨事項>
果物、野菜、マメ科植物(レンズ豆、豆など)、ナッツ、全粒穀物(未処理のトウモロコシ、キビ、オート麦、小麦、玄米など)を摂る
1日に少なくとも400gの野菜と果物を摂る
脂質のうち、トランス脂肪酸については、摂取量を総摂取エネルギーの1%相当量以下にする
1日に2,000kcalを摂取している人では、吸収の早い単純糖質の摂取を5%未満に、脂肪の摂取を30%未満に抑えること。脂肪の多い牛や豚などの動物性食品を押さえ、食塩の摂取量を1日5g以下にするのが理想的
なお、痩せているほうが健康だという印象をもつ人も多いですが、痩せすぎも病気になるリスクを高めることが明らかになっています。特に65歳を過ぎると筋力が衰えやすくなるので、肉や魚、大豆製品など、筋肉の材料になるタンパク質を含む食品を積極的に摂るようにしましょう。
ブレインパフォーマンスの維持にも理想的な「地中海食」や「日本食」
生活習慣病予防や認知機能低下予防に有効な食事として注目を集めているのが、地中海食です。地中海食は文字通り地中海沿岸地域の伝統的な食事で、オリーブオイルや四季折々の野菜や果物、ナッツ類、魚介類をふんだんに使い、赤ワインを適量摂取するのが特徴です。WHOが発表した認知機能の低下リスクの低減に向けたガイドラインでも、「地中海食を続けることでMCI(軽度認知障害)のリスクが低減する」とされています※4。
また、主菜や副菜、汁物から構成される伝統的な日本食も、世界的に見て栄養バランスに優れた食事と言われています。※5。日本食や地中海食のような多種多様な素材を使う食事は栄養バランスが良いだけでなく、献立を考えて食材を買いに行く、調理をするといった様々な食行動が伴うため、脳の活性化にも有効です。ただし、食べ過ぎや塩分の摂り過ぎには注意してください。
お腹だけでなく心も満たす食事を
食事の目的は単に栄養を摂取することではありません。人と関わり、自分や家族の健康に配慮した食事、楽しみを加えた食事は心に栄養を与え、心の健康を支えます。実際、国内外の調査結果から、誰かと食事を共にする頻度が高い人は、心の健康状態について「気が散る・根気がないなどの精神的な自覚症状が少なく」※6、食生活について「ファストフードの利用が少ない」※7・「野菜や果物など健康的な食品の摂取頻度が高い」※8といった傾向があることもわかっています。食事の内容だけでなく、食事の摂り方や環境にも工夫して、食事の時間を楽しみましょう。
※1Jiang et al., 2017; Wu et al., 2017
※2Bakre et al., 2018; Zhang et al., 2016
※3Samieri et al., 2018
※4Singh et al., 2014; Wu & Sun, 2017
※5Ozawa M, et al. Am J Clin Nutr. 2013; 97(5):1076-82
※6小西史子.小児保健研究. 2001; 60:739 ~748 2001
※7浅野真智子ら. 栄養学雑誌. 2003; 61:47-54
※8須山靖男. 体力研究. 2003; 101: 8-17