知ることからはじめよう、脳の健康。
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導入事例イーデザイン損害保険株式会社様事例紹介
導入企業様インタビュー

取材:2023年10月 イーデザイン損害保険株式会社
(東京都新宿区)

(左から)
イーデザイン損害保険株式会社 CX推進部 アソシエイト
西澤 寿朗さん
イーデザイン損害保険株式会社 取締役 商品開発部長
広瀬 直人さん
イーデザイン損害保険株式会社 商品開発部 アシスタントマネージャー
齊藤 暢克さん

自動車保険のサービスとして、「のうKNOW」を活用

事故の防止、運転寿命の延伸めざし、脳の健康に着目

「のうKNOW」の導入に至った経緯を教えてください。

西澤そもそもの背景として、エーザイさんとの業務提携がありました。私たちは自動車保険を通じて、事故を無くす、減らすことを目指しています。一方のエーザイさんは、認知症の啓発や認知症の人を支えるためのさまざま活動に取り組まれています。両者が協力してできることがあるという発想から、業務提携に至りました。
事故の要因はたくさんあります。そのうちの1つである認知や判断に着目した場合、事故を減らすには脳に対しての何らかのアプローチが必要と考えられました。そこでお客さまに提供するサービスの1つとして、弊社で取り扱う自動車保険のアプリに「のうKNOW」を組み込むことにしたのです。

「のうKNOW」の導入にあたり、どのような効果を期待されましたか。

西澤安全運転に欠かせないのが判断力や注意力です。したがって、お客さまの事故防止、運転寿命の延伸を図るには、お客さま一人ひとりが脳の健康について日常的に気づかうことが大切と考えられます。「のうKNOW」で脳のセルフチェックを行うことが、そのきっかけになるのではないかという期待はありました。

広瀬最近、免許の返納がよく話題になりますが、一方で、車を使わなければ生活が成り立たない人たちがいます。エーザイさんと話し合いをする中で、車を必要とする人がいる以上、どう返納に結びつけるかより、むしろ少しでも長く安全に運転していただくためのサポートが大切なのではという結論に行き着きました。定期的に脳の健康度をチェックすることで、認知機能の低下などの兆候をいち早くとらえる、早めの治療やトレーニングに結びつけて進行を遅らせ、運転寿命を延ばすといった考え方です。

保険の契約者のうち約1万人が「のうKNOW」を利用

「のうKNOW」のサービスは、どのように提供されているのですか。

西澤弊社が取り扱う自動車保険では、お客さまに事故防止や安全運転を心掛けていただくために、日々の運転を振り返ることができる運転レポートや、過去の事故データに基づいた安全運転のアドバイスなどのサービスをスマートフォンのアプリを通して提供しています。そのサービスの1つに「のうKNOW」を組み込みました。具体的には、脳の健康状態をチェックする大切さなどとともに、「のうKNOW」の利用を呼び掛ける記事を3カ月おきに配信します。記事を読み進め、最後に表示されるボタンを押すと、「のうKNOW」のページに遷移、脳のセルフチェックを行うといった流れです。操作説明や過去の結果なども、「のうKNOW」のページで確認できます。

サービスの開始に先立ち、「のうKNOW」を体験されたと思いますが、いかがでしたか。

西澤難しいパートもあって少し面食らいましたが、夢中になれました。お客さまが利用するにあたり、時間の長さがネックになることはないと感じました。結果は年齢相応でひと安心でした。

齋藤思っていたより難しかったです。ただ、脳の健康度を測定するということについてはとても斬新に感じられました。
私自身、「のうKNOW」というツールに出会い、脳の健康について考える機会が増えました。健康について考えたとき、まずイメージするのは体重や運動、栄養バランスを考えた食事などではないでしょうか。脳の健康に目を向ける人は限られると思います。そのように認識していたこともあり、お客さまにとっても良いきっかけになるのではないかと思います。高齢の方はもちろん、仮に若い方であっても、たとえば親に脳の健康について意識させるような働きかけができるかもしれません。

サービスの開始から、どのくらいの方が「のうKNOW」を利用されたのでしょうか。

西澤2022年7月からサービスを開始して、これまでに延べ1万人の方に利用していただいています。1回の配信につき2000~3000人の方がチャレンジしている計算になりますが、私たちは当初、1回につき1000人程度の利用を想定していました。思った以上に多くの方に使っていただいているというのが正直な感想です。

脳の健康に関連するサービスの充実をめざす

利用した方にアンケートを行ったと聞いていますが、反応はいかがでしたか。

西澤「のうKNOW」を受けた理由についての質問では、「脳の健康度に関心があった」「脳の健康に不安を感じたことがある」といった回答が多く見られました。契約者の中には脳に関心があったり、不安を抱えたりされている方が一定数いて、そうした方々のニーズに応えるサービスが提供できたのではないかと解釈しています。

「のうKNOW」の導入、運用を通して、新たに気づいたことはありましたか。

広瀬認知機能が衰えると、周囲の人たちは車の運転を止めるように働きかけます。ですが、運転を中止すると、家に閉じこもりがちになるなど、ますます症状が進行してしまう可能性があるということを今回の取り組みを進める中で知りました。安全な運転を続けるためにも、まずは自分の脳の健康状態を把握することが大切なのだと実感しました。免許の返納というのは「75歳になったから」など年齢だけを理由に機械的に決めるのではなく、脳の健康状態も含め、慎重に考える必要があると感じています。

「のうKNOW」の運用による成果を、今後どのような活動に結びつけたいと考えていますか。

西澤これまでに、「のうKNOW」の測定結果(脳年齢、集中力スコア、記憶力スコア)と日々計測される運転データを用いて、「のうKNOW」利用者の運転傾向の比較や分析なども進めてきました。とはいえ、「のうKNOW」導入からまだ1年と少ししか経過しておらず、現状は脳の健康に目を向ける“きっかけ”を提供するだけにとどまっています。今後は、分析結果などを踏まえて、脳の健康とどう向き合っていくのか、脳の機能をどう鍛えていくのか、異変を感じた時は誰に相談すればいいのかといった視点から、“きっかけ”の先のサービスの検討、開発に取り組んでいきたいと思います。

齋藤脳の健康を維持するには何をしたらよいのか、私たちにできるサポートについてしっかりと考え、何らかのサービスをお客さまに提供していければと思っています。提供するサービスの具体的な内容については、運動なのか社会活動なのか現時点では手探りの状況ですが、さまざまな角度から検討していきたいと考えています。

「のうKNOW」は、エーザイが開発した脳の健康度のセルフチェックツールです。疾病の予防や診断を目的としたものではなく、健康意識を高めるために 行っていただくことを目的としています。