知ることからはじめよう、脳の健康。

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導入事例静岡市認知症ケア推進センター・かけこまち七間町
〜全世代の誰もが駆け込め立ち寄れる拠点〜

広さは約140平方メートル。飲食店だったビルの1階を改修し、相談スペース、大型モニター、イベント用の調理室などを整備した。床材を抗菌材料に替えるなど感染症対策にも配慮している。

静岡県静岡市は2020年10月31日、同市葵区七間町に『静岡市認知症ケア推進センター』(愛称:かけこまち七間町)を開設した。医療・介護の専門職が常駐し、認知症に関する相談や困りごとに対応するほか、認知症の人同士の交流などを支援する。また、認知症の専門機関の連携拠点、産学による認知症の研究拠点、市民への情報発信拠点としての機能も持つ。市によると、地方自治体が認知症に特化した施設を直営するのは全国でも珍しいという。

認知症になっても希望を持って暮らせるまちへ

同センターは、静岡市が進める『健康長寿のまちの推進』の一環として設立された。同市の認知症の人の人数は、2020年3月末現在で25,000人を超えており、65歳以上の高齢者の9人に1人が認知症であることがわかっている。そうした実情を踏まえ、田辺信宏静岡市長はセンターオープン当日の記念式典で、「認知症に悩む市民の方々とそのご家族が、『ここへ来れば何かよいことがある、今後の支えになる』と思える場所にしたい。そのためには中心市街地でなければいけない、この七間町でなければいけないんです」と述べた。
市はセンターを、認知症の人やその家族への支援を充実するとともに、全世代に向けて認知症の理解促進を図る施設として位置付ける。今後センターを通じて、認知症になっても希望を持って暮らし続けることができる社会の構築を目指す。

オープン記念式典でセンターの愛称が発表された。公募に対して、北海道から九州まで約90件の応募があったという

まちなかで気軽に脳の健康度チェック

センターが面する七間町通り。飲食店やショップが並び、老若男女で賑わう。

『かけこまち七間町』という愛称は、多くの人が「かけつけ集まる」という意味と、同市中心街のことを市民が親しみを込めて「おまち」と呼んでいることからつけられた。オープン当日、通りを行き交う幅広い年代の人たちが、「何をしているんだろう」とガラス張りのセンターをのぞき込む姿が見られた。困った時にすぐに駆け込める場所として、あるいは買い物帰りにふらっと立ち寄り、脳の健康度チェックやフレイルチェックなどを行う場所として、市民に頼られるセンターとなることが期待される。

かけこまち七間町の利用者(11月は約100名)の約5割が脳の健康度チェックを目的に来所。「この前は調子が出なかった」と繰り返しチェックに来る人、親を連れて相談に来た際に自分がチェックをする人、家族のチェック結果を見て後日相談に訪れる人など、さまざまな利用パターンがみられている。
11月中旬以降、市広報誌『静岡気分』の特集でセンターおよび脳の健康度チェックを紹介し、またセンター入り口にチェック告知ののぼりを設置したことで、センター利用者・チェック体験者ともに増加傾向となった。

静岡市認知症ケア推進センター“かけこまち七間町”の事業内容

静岡市における認知症施策の一層の強化につなげるとともに、認知症本人や家族に対して総合的な支援を行う中心的な拠点として運営される。

センターの
2大機能
  • 1本人や家族への直接支援
    • 1.専門職等による個別相談支援駆け込み寺

      看護師、社会福祉士、理学療法士、歯科衛生士、介護福祉士など、医療・保健・福祉の専門職がチームで対応。
      常時3名を配置し、日常生活に関する専門支援、家族に対する専門支援などを行う。

    • 2.当事者同士の交流・活動支援交流の場

      地域における認知症本人の社会参加や生きがいづくりを推進するため、本人同士の交流(認 知症カフェなど)、本人による相談支援や講演などを行う。

  • 2本人や家族への支援環境整備
    • 1.専門機関との連携連携拠点

      センター窓口での相談支援の充実を図るため、地域包括支援センター、社会福祉協議会など 各地域機関および医療機関と連携し、切れ目のない支援を提供。

    • 2.研究開発・人材育成専門職の研究拠点

      効果的な認知症ケアの開発やケア従事者の認知症対応力向上を図るため、大学との認知症 ケアの共同研究、産学による認知症予防の共同研究、ケア事例検証の勉強会などを行う。

    • 3.普及啓発・理解促進情報発信の拠点

      社会全体での支援体制構築に向けた機運醸成のため、市民向け活動(認知症サポーター養成 講座、認知症予防セミナーなど)、企業向け活動(採用時・勤務時の対応支援など)を行う。

常設業務内容

  • 認知症の相談窓口
  • 血圧計や体組成計、握力計などの測定
  • デジタルによる脳の健康度チェック
  • 認知症関連のDVDをモニターで視聴
  • 認知症関連の書籍を閲覧

認知症の相談だけではなく、タブレットもよる脳の健康度チェック(のうKNOW)、健康状態チェックや認知症についての勉強ができる。
休日を利用して、認知症の講演会や音楽療法(ミニコンサート)、認知症のVR体験、認知機能に効果のある食品、レクリエーション・運動のイベントなども開催。

※本チェックは疾病の予防・診断を目的としたものではありません。

市民の声の紹介

40~74歳で、要支援・要介護の認定を受けていない市民5,000人を無作為に抽出し、アンケート調査を実施(有効回収率51.9%)。
自由回答では、認知症に関するチェックや相談の場を求める声が多かった。

私は認知症になる手前で気づき、診断を受けたため、回復できた。自分で気づく環境があれば、症状を遅らせたりできると思う。

(60代夫婦)

認知症か否かを早く自分が知ることが一番大切だと思うので、チェックできる場所を提供してもらいたい。

(70代夫婦)

人間なのでいずれ衰え、弱ってゆく。そのことを“異常”ではなく当たり前のこととして相談しやすい窓口や、気軽にチェックしに行ける場所があれば良いと思う。

(40代女性)

認知症チェックをある年齢で義務化してもらいたい。認知症が恥ずかしいものでない、という活動を広めてもらいたい。

(50代男性)

病院で検査すると言うと、両親がとても嫌がるので、買い物へ行ったついでに認知症のチェックができる場所があるとありがたいです。

(50代女性)

地元の病院に「認知症相談の看板」があったので母に勧めたが、大げさに感じるのか行かない。早めの予防や対策を知りたい。

(40代女性)

健康な人でも認知症チェックを気軽に受けることができる場があれば、本人を連れていきやすいと思います。認知症のことで相談できる場所があれば教えていただきたいです。

(60代男性)

導入自治体様インタビュー

静岡市保健福祉長寿局 地域包括ケア推進本部 木下晴美 係長

気軽に相談、気軽にチェック
認知症ケアを身近なものに

静岡市保健福祉長寿局 地域包括ケア推進本部

木下 晴美 係長

センターがまちなかに置かれた2つの理由

介護保険事業に関する市の実態調査(市民ニーズ調査)により、介護をしているご家族の大半が認知症への対応に不安を感じていることがわかっています。そうした不安に寄り添い、解消する方法として、認知症に特化したセンターをまちなかに設置すれば相談に来ていただきやすくなるのではないかと考えました。もう一点、認知症の人が1人でも安心して暮らし、外出できるまちにするためには、全世代が認知症を正しく理解することが必要です。そのために、まちを行き交う人がふらっと立ち寄り、認知症に対する関心を高めたり、理解を深めていただく場を構想しました。

センターのコンセプトの転換

市が当初検討していたのは、『認知症予防』を目的としたセンターの開設でした。しかし、アドバイザーをお願いした粟田主一先生(東京都健康長寿医療センター研究所研究部長)から、「認知症予防のエビデンスは確立されていない。予防を強く打ち出すと誤解を招き、認知症になった人を(予防しなかったと)追い詰めることになる」というご意見をいただきました。
同じ時期の昨年6月、国の『認知症施策推進大綱』では、予防が「認知症にならない」ではなく「認知症になるのを遅らせる」「進行を緩やかにする」と定義されました。こうした背景のもと、「認知症になっても安心」という考え方に軸足を移していったのです。

脳の健康度チェック(のうKNOW)について

センターのあり方を検討する過程で、市は昨年度、『認知症の予防に関する実態調査(5,000人対象)』を実施しました〔次ページ参照〕。その結果、センターに期待する機能・役割で最も多かったのが「認知症チェックができる場」(65.5%)で、次が「相談の場」(47.3%)でした。
一方で、認知症の検診やチェックを受けた経験のある人はわずか2.9%にすぎません。ならば新しくつくるセンターで市民ニーズに対応しようということで、チェック機能は欠かせないとの認識が固まりました。
医療機関で受ける検査とは違いゲーム感覚で気楽にチェックできる、自分の認知機能の“傾向”に気づいてもらうだけでも重要─そのような条件でいくつかのツールを検討する中、『のうKNOW』に出会いました。採用の決め手は、データ蓄積が可能なため、市内にどういう状態の人がどの程度いるのかを経時的に追えることです。また、馴染みのあるトランプのアイテム、飽きさせない画面展開、持ち運びできるタブレットでチェック可能といった点も高評価でした。

かけこまち七間町スタッフインタビュー1 〜中村 知子さん

事前に、認知症を診断するものではないことをお伝えしています

認知症かどうかの判定ができると思って来られる方もいるので、始める前にそうではないことをお伝えし、「もし心配な場合は医療機関や相談窓口を訪ねてくださいね」と言葉を添えています。一方、自分は認知症ではない、あるいは認知症の可能性は低いと思っている方でも、医療機関と違い気楽にチェックできるのがセンターの強みではないでしょうか。
ここに来ていただくだけでもご本人たちの社会参加や交流になるので、「何カ月かに1回は、体組成計などの健康チェックと一緒に脳の健康度チェックもしてみませんか」とお声がけしています。

かけこまち七間町スタッフインタビュー2 〜大清水 瀬奈さん

終了後のフォローで不安をやわらげ生活改善に気持ちを向けていただきます

チェック結果として画面表示される『脳年齢』が実年齢よりも高いと、「あ、ショック」と率直な反応を示される方が多いようです。でも、結果の後に食生活や運動など、脳の健康を保つために大切なことが表示されるので、一つひとつご説明しながら「思い当たることはありますか?」とフォローの会話をしていくと、不安がやわらぎ、生活習慣に気をつけようと思っていただくきっかけになっているのかなと感じます。
その方が本当に望んでいることは何なのか─予防を強く望んでいるのか、今後のサービスにつなげたいのか─を汲み取ることも大切だと思います。